私は離職率が高い業界や企業で働いていたことがあります。
その時も人材育成を担当していました。
特に新入社員研修では企業理念にすごく共感して、それぞれの職場へ行きます。
しかし、1週間もしないうちに「もう辞めたいです」というメールが入ることもあります。半年もすれば、半分くらいが辞めているような状態になることがよくありました。
「あれほど企業理念に共感していたのに、なぜすぐに辞めるのだろうか?」と不思議に思い、辞めた人と頑張っている従業員にヒアリングをしてみました。
その結果、「自分が何をしたいのか?」が明確な人は辞めにくい、ということが分かりました。
「将来の夢や目標」でもいいのです。もっと大きく「自分はどのような人間になりたいか」ということでもいいのです。それをしっかりと持って、今の仕事がそれに向かって、どのように結びつくかを考えている人は、目の前の苦労を乗り切れるのだと分かりました。
企業には企業理念があるように、従業員1人1人にとっても「どこを目指すのか」が明確であって、それが合致しているとお互いにとって良い結果を得ることが出来ます。
経営者としては、企業としては、従業員に企業理念を押しつけてしまいがちになります。しかし、従業員が企業理念を利用して自分の成長に結びつけていけるようにすると、従業員も企業理念への理解が深まるのではないでしょうか。結果として、従業員の行動が変わります。
企業理念の導入研修や浸透研修において、従業員に自分の夢や目標をはっきりしてもらい、それを達成するために企業理念をどのように活用するのか、を考える機会を設けるのも良いのではないでしょうか。