企業理念が「会社の存在価値であり、目指すべき姿」であるなら、
個人理念は「個人の存在価値であり、目指すべき姿」になります。
個人理念をもう少し分かりやすく言うと、「自分はどういう人間になりたいか」ということです。その人にとってのアイデンティティとも言えます。
従業員にとって、会社か個人かどちらが大切かと考えると、間違いなく「個人」です。
しかし、日本の企業では昔から「組織に従属すること」が美徳とされ、そういう人が評価されてきました。
結果として、企業が大きく発展してきたという点があります。
一方で、不祥事が起こった時に途中で止めることが出来ず、会社がなくなってしまう状態にまで追い込まれる状態を作っています。従業員は気づいても、会社のために何も言いません。
企業として、経営者として、従業員には企業理念を押しつけてしまいがちです。
しかし本来は企業理念より「個人理念」の方が上にあるべきです。
従業員一人ひとりが自立して、自分で考えて行動できるようになると、生産性は間違いなく向上します。
全員が周りから指示されることなく、自分がやるべきことを見つけて動ければ、全員が今より一段レベルアップした仕事を行えることになります。
もちろん、そういう状況になったとしてもルールは必要です。
ルールは一つです。「企業理念から考える」です。これだけで十分なのです。
しかし、従業員が自立していなければ、一から十まで指示を出さなければならないですし、指示を出してもその指示通りに動きません。イライラが募り、信頼関係が築けず、従業員は「この会社はダメだ」と言い、経営者は「この従業員はダメだ」と言い出します。
これで、会社は発展するでしょうか?
企業理念を押しつけても、従業員は自立しません。
「どういう人間になりたいか?」この質問をして、従業員の自立を促しましょう。