企業理念を浸透していくと段階で、必ずと言っても良いほど「否定派」が出てきます。
一見すると邪魔者のように感じますが、むしろ否定派の社員が出てきた方が良いのです。一番やっかいな社員は、理解して共感しているフリをして全く行動しない社員です。このような社員ばかりだと、経営者は「企業理念は順調に浸透している」と勘違いしがちです。しかし現実は、一歩も進んでいません。
むしろ大切にしたいのは、「企業理念は無駄だ」「企業理念はやっても同じだ」と声が挙がる風土です。社員が自分の意見を述べることができる雰囲気は、会社の強みかもしれません。社員は会社に対して、面と向かって自分の意見が言いにくいものです。
そうかと言って、その意見を放置していてはダメです。社員の動きが止まってしまう可能性があります。
否定派の社員がいる場合の対策は、「じっくりと話をする」ことです。
その場でやるべきことは、次の2つです。
①まずは否定派の社員の話をしっかりと聴く
②次に自分の想いを伝える(なぜ企業理念を作ったのか?社員にどうなって欲しいのか?など)
否定派の社員に自分の意見を押しつけるのは、企業理念では間違いです。
「どこが納得がいかないのか?」「何が気になっているのか?」などを聴きます。そうすると、社員がどこで迷っているのかが分かります。
企業理念そのものを理解していない場合もありますし、企業理念には賛成しているが浸透の仕方に不満がある場合もあります。企業理念以外に原因があるかもしれません。話を聴くことで、その点を把握します。
どこで迷っているかが理解できると、その点を中心に「自分の想い」を伝えます。
企業理念そのものを理解していなければ、企業理念をなぜ作ろうと思ったのかを説明する必要があるでしょう。浸透の仕方に不満があるなら、社員に企業理念を通してどうなって欲しいのかを伝えることが必要かもしれません。相手に合わせて説明する必要があります。
そして、さらに自分が話した想いについて社員がどう感じたのかを質問してみるのもいいでしょう。
コミュニケーションとは「相互理解」です。そのためには「社員との対話」が必要です。
企業理念も相互理解できないと、浸透させることが出来ません。社員と話す良い機会と捉えましょう。